商業出版をめざす労力をどう捉えるか
読者が求める価値あるノウハウやコンテンツを持つ著者であれば、わざわざお金を払って本を出さなくても、出版社のほうから商業出版のお誘いがかかる――。
たしかにそうかもしれません。
でも実際にはそう簡単な話ではないです。
まず商業出版を実現する最短ルートは人脈です。商業出版社で働く編集長など一定の権限を持つ人と知り合いであれば、「うちから本出す?」と意外とあっさり商業出版が実現することもあるかもしれません。
でもそもそも出版業界に人脈のある人は限られるでしょう。仮に知り合いがいたとしても、その人が務める出版社が得意とするジャンルと、著者のビジネスやノウハウがマッチしていなければ出版に向けた企画は出版社の会議のそじょうには乗らないのです。
地方の優良企業はメディアに見つけてもらう術を持たない
では人脈がない場合、商業出版で本を出すにはどんな方法があるでしょう。
一例をあげると、
・ブログやSNSで情報発信
・メディア各社にプレスリリースを発信して取材を受ける努力をする
・企画を立てて出版社に持ち込む
(あるいは企画のたまご屋さんなどのサービスを利用する)
・出版社主催のセミナーなどに参加する
・商業出版専門の出版プロデューサーに依頼する
などが考えられるでしょうか。
総じて自社や自身の存在を積極的に発信し、商業出版社に見つけてもらう取り組みが中心です。
本の出版をめざすのであればそれくらいの努力はおしむなよ、そう思うかもしれません。ですが、とくに自らプレイングマネジャーで組織をけん引する社長自身がそんなことをしている暇はありません。
ましてブログやSNS程度はやっていても、いざ書籍の企画を立てるといっても何をどうすればよいか皆目見当がつかないはずです。
企業出版は、価値あるノウハウを持つ企業が最短距離で出版を実現する手段
では出版プロデューサーの門をたたくのかといえば、未知の世界だけに一歩を踏み出すのは気が引ける。
加えて出版への第一歩のハードルが高くなるのが地方の企業です。情報が集積する都市部であれば、メディア企業とつながる可能性は比較的に高くなるでしょうが、地方ではたとえ日本や世界の市場でシェアトップを握るような企業であっても、案外知られていない企業も少なくありません。
そういう企業はPR下手を自認しながらも、広報に長けた人材がいるわけでもなく、また社長がITやメディア戦略に通じているわけでもなく、自社のブランディングの必要性を理解しながらも手をつけられていないのが実情なのです。
結果として、本を出したい願望を心の片隅に抱いていたとしても、あるいはたとえ商業出版で本を出す価値のある事業を展開していたとしても、出版へのルートが具体的に開けていない企業がたくさんあるのです。
そうした企業は出版の道が閉ざされているのかといえば、そんなことは決してありません。
読者が求める価値あるノウハウを持つ企業が最短距離で出版を実現する方法――それが著者主導で本づくりが行える企業出版なのです。
つづく……。
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