企業出版を活用すれば早期に出版デビューが果たせる

読者が求める価値あるノウハウを持ちながらも、企画力やブランディング力、メディア戦略に長けていなければ、書籍の出版はあきらめざるを得ないのかといえば、もちろんそんなことはなく、企業出版という手段を活用すれば最短距離で出版が実現するというのが前回のブログ内容(企業出版は〝後ろめたいこと〟なのか?②)の結論でした。

企業出版という仕組みを活用すれば、出版企画の作成や出版社への売込みといった本業とは別の煩わしい作業に労力を費やすことなく、早期に出版が実現可能です。

しかも出版社の意向に強く左右されすぎずに、著者自らの伝えたい思いやノウハウを出発点に本づくりが可能です。

とはいえ、やはり振り出しに戻るようですが、企業出版を検討する際に頭の片隅に生じるのが「商業出版で本を出せないから、自ら資金を投じて本を出版するしか方法がないのだろう」というマイナスの思い込みではないでしょうか。

しかし本ブログでみてきたように、商業出版で本を出すだけのコンテンツやノウハウを持つ著者や企業であっても、商業出版社に見つけてもらう術を持たないだけかもしれませんし、商業出版社に見合う価値があるかどうかとは別問題というのがまず前提としてあります。

自費出版、企業出版からデビューした著名作家も多数

加えて著名な作家の中にも、初版本は自費出版や企業出版で出版デビューを果たした人も少なくないのです。たとえば日本を代表する文豪、夏目漱石の代表作『こころ』は当初、自費出版で出版されたことはよく知られています。そのほか累計発行部数200万部を超える『リアル鬼ごっこ』(山田悠介著)や血液型をユニークに解説した『B型自分の説明書』などもそうです。

こうしてみていくと、企業出版の漠然としたうしろめたさは、じつは幻想だというのがわかります。

自己満足に終始した企業出版本ならまだしも、読者が求める確かなノウハウを持ち、そのノウハウを読者が求める価値ある情報として分かりやすく編集がなされた本は、たとえ企業出版であっても商業出版と同等、あるいはそれ以上の価値を持つことも十分あり得るのです。

このように考えていくと、企業出版のデメリットはたったひとつに絞り込まれることがわかります。それは著者自身に費用負担が生じる点です。

企業出版と費用の関係、次回のブログではこの点を掘り下げて語りたいと思います。

続く――。

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